E−XAMY

   19

 朝学校に行くと咲が謝ってきた。

「き、昨日は言い過ぎたわ。」

「ううん。そんなことないよ。それに君の言うとおりだったし。」

「?」

(そうだ。もし僕がもう少し彼女の言ったことを気に留めていたら。あんなことには)

 

 

 昨日、ことが終わった後淳たちは白石に治療を受け帰宅した。そのとき赤羽は謝罪とこれからのことを話した。

「本当にすまない。お前たちを守るといったのにこのざまだ。責めてもらってもかまわない。だが、これだけは言わせてくれ。もうお前たちはこの件から降りるんだ。そうすれば敵の目的もすんだことだから手を出してこないだろう。」

 淳たちは無言だった。そして家に着くと赤羽が「本当にすまなかった。」ともう一度謝ってきた。

 だが淳は思っていた。これは自分の責任だと。自分が気を抜いていなければ。もっと周りに警戒していたなら。ことは変わっていたと。

 だから淳は自分が許せない。

 何もできず、

親友を守れなかった自分が。

 だから。

 だからもっと強くなると心に誓う。

 もう二度とこんなことにはならないように。

 そして。

 そしてこの件は自分が、けりをつけるとも。

 もう誰も傷つけたくない。

 自分のせいで誰かが傷つくのはうんざりだ。

 だから自分がやる。

 あの男は赤羽と同じくらいの実力だといっていた。だったら赤羽にまかせっきりにはできない。いくら二条がいるとしても、敵はグループだ。多勢に無勢だろう。二人だけではどうにもならないかもしれない。

 ならば自分が赤羽よりあの男よりもっと実力をつければいい。

 そしてあの男を倒す。

 それが淳の、

誓いだった。

 

 

「へっ。なるほどな。」

 休み時間に人がいない屋上に行き、淳は雄二にその決意を話す。

「そういうわけだから雄二。もう少しまってて。そうすれば僕が全部……」

「おっと待った。そういうわけにゃあいかないぜ」

「え?」

「お前だけにやらせるなんてことはしないってことだよ」

「雄二! でも……」

 雄二の予想外の言葉に淳は戸惑ってしまう。

「確かにお前の気持ちもわかる。俺なんか結局すぐにやられただけだしよ。でもなぁ。俺も悔しいんだよ。お前と同じくらい。いや、お前よりも悔しい」

「雄二……」

「だから俺はお前がなんと言おうと戦うさ。何よりも、俺のために」

「雄二、本気なんだね。わかった。でもこれだけは約束してくれ」

「お、なんだ?」

「絶対に死なないでくれよ」

 その言葉に雄二はふっとわらい答える。

「当然だろ。死んだら結局は負けだからな」

 

 

 そして淳たちは赤羽に特訓を続けてほしいと頼み込む。

「なに? まだ修行をつけてほしいだと」

「はい」

「だがお前たちはもう終わったんだ。もう何もしなくても、いや何もしなければこそやつらは襲ってこない。なのに、なぜ」

「僕は、僕たちはもういやなんです。あんなふうになるのは。誰も守れないのは。だから。だからお願いします。僕たちを、強くしてください」

「……」

 赤羽は予想だにしていなかった。まさか彼らがまだやる気があったなんて。

「い、いやしかし」

「お願いしますよ、先生。」

 雄二も必死でお願いする。その熱意に赤羽は折れてしまう。

「わかった。」

「やったな、淳」

「うん」

「ただしだ」

 喜ぶ二人に赤羽は付け加える。

「今度からはもっとしっかり鍛えてやる。今までとは違い、お前らが自分で望んでやるんだからな。覚悟しろよ」

確かに今までだって自分で望んでやっていたのかもしれない。しかしその状況になるのは望んでいなかった。望まずにそういう状況下に置かれていたのだ。

 だが今度は違う。彼らは望んでそこに身をおこうとしているのだ。だったら、今度は彼らがこの状況を切り抜けるだけではない。どんなときでもどんな状況でも戦っていけるだけの力をつけさせる。そう赤羽は思うのだった。

「さ、やると決めたらやるぞ。今日からいつもより多めだ」

 その言葉に二人は気合を入れて修行にのぞむのだった。