E−XAMY

   20

「情報が漏れているですって?」

「ああ、これがそうだ」

 豪華な一室で白藤がもう一人の男に紙を渡す。

「へぇ。俺のことまで……。しかもほかにもこんなに。となると内通者か裏切り者がいるって話ですね。まあ俺の予想では江田あたりでしょうけどね」

「断定は禁物だ。とはいえこの情報はおそらく赤い死神に届いているだろう。凄腕の情報屋と関係があるといわれているしな。となれば危険なのはお前だ。いくらお前でも赤い死神にはかなわない」

「なるほど。それで今日呼び出したって話ですかい」

「そうだ」

「わかりました。赤い死神には気をつけます。それと……」

「なんだ?」

「あの二人の事はもういいんですか?」

「ああ。それについてはもう終わったといったはずだが」

「ならいいんですけどね。もし彼らがきたらどうします?」

「ありえんな。私は彼らに対して圧倒的な実力差を見せてきた。なのに再度くるなど考えられん」

「もし来たなら?」

「お前の好きなようにしろ」

「了解」

 そういうと男は紙を上に放る。

 その瞬間紙は粉々に切り刻まれるのだった。

 

 

 淳たちが襲われてから二週間たった。

 その間彼らはさらにきつくなった修行をものすごい集中力でがんばっていた。

「ふぅ。じゃあ今日はこれでおしまいだ。しかしお前らがんばってるな。そのおかげでかなり強くなってきたんじゃないか?」

「ほんとっすか?」

「ああ。その証拠に、淳」

 赤羽は淳を呼ぶと缶を放り投げる。その意図を理解した淳は水を飛ばし見事に缶に命中させる。

「この間まではどんなに威力を抑えても缶にかすりもしないってレベルですらなかったのに、今は6割?7割?とにかくそのぐらいの力の割合で缶に命中させられるようになってるんだからな。これなら100%のちからで缶に当てられるようになるのも遠くはないだろう」

「へっへっへ。俺たちって才能あるんすかね」

「あるかないかでいったらないんじゃないか。だがお前たちはそれ以上の努力するというすばらしいものがある。どんなに才能のあるやつでも努力しなきゃ伸びないし、逆に才能ないやつでも努力すればどんどん伸びていく。お前たちはつよくなるぞ」

「まじっすか?ひょっとして先生よりも……」

「今みたいに本当にがんばってれば俺は抜かせると思うな。だが大事なのは強くなることじゃあないぞ」

「え?じゃあなんなんすか?」

「きまってるだろ。正しい心を持つことだ」

 その言葉をきき、淳はやはり正義を心に持つことは大事なのだと心に刻んだ。

「これならもうそろそろ次のステップに行ってもいいだろうな」

「次のステップですか。そういえばこの修行って赤羽先生が昔やってた修行なんですか?」

「いや、おれは昔あまり修行はやってなかったな」

「えー、なのにそんなに強いんすか。詐欺じゃないっすか」

「その代わり俺は戦うことが本当に多かったからな。雄二、お前も修行が要らないくらい戦ってみるか?」

 赤羽の威圧感に押されて雄二は思わず「い、いやいいです」と尻ごんでしまうのだった。

「まあいいや。明日は日曜だからな。ゆっくりしなさいな。」

「はい」

 完全に敵の狙いから外れた二人は赤羽に送ってもらうことなく二人だけで帰路につのだった。

 

 

「淳、あの封筒もう一回みしてくれ」

「うん。はい」

 淳は雄二に封筒を渡す。何の変哲もないただの封筒だ。

 ただ二人にとっては中身が非常に重要な問題だった。

「よし、この情報は完全に頭に入れた。淳は大丈夫か?」

「うん。ぼくも覚えたよ。」

「オーケー。じゃあ明日、やろうじゃないか」

「わかった」

 

 

 それは今朝のことだった。

 雄二と登校しているときに知らない男の人に話しかけられた。

「あ、君たちひょっとして慎の教え子じゃないかな」

「え、赤羽先生のことですか?」

「そうそう、赤羽慎。もしよかったらこれ、彼に渡しておいてくれない?彼から頼まれてたやつなんだけど」

「いいっすよ」

「ありがとう。たすかるよ」

 男が完全に視界から消えてから淳は雄二に小声で話す。

「ちょっと、雄二。いいの、そんなに簡単に引き受けちゃって。ひょっとしたら敵の……」

「なんだよ、淳は相変わらず心配性だな。そんなわけないだろ。さてさて中身はっと」

「ちょっ。それはまずいって」

「へっへっへ。ひょっとしたら面白いことがわかるかも」

 ほんのいたずら心で雄二は封筒の中身を見る。栓がしてなかったから見たことが赤羽にばれないとわかってのことだった。しかしまさかこれが二人にとても関係のあることだなんて空けた瞬間は思いもしなかった。

「な、これって」

「ああ、そうみたいだな。あの敵の。ぶれ何とかの、情報だ」

 そう、封筒の中身にはついこの間まで淳たちを襲っていたブレイザ・ブリクの情報が載っていたのだった。

「おいおい、すげぇぞこれ。敵の組織の大体のメンバーとかものってるぜ」

「これは」

 淳が手にした紙には白藤の情報が載っていた。

「ちっ。こいつか。だがこいつは俺たちが倒す!」

「うん。あれ?この人だけ住所が乗ってないや」

「こいつだけはそこまで調べ切れなかったんだろ。なんせかなりの使い手だったんだからな。だが心配いらねぇよ。ほれ、これ見てみろよ。幹部クラスの情報までのってるぜ。この、なんだ。しほんやりとかに聞けば絶対知ってるぜ」

「でも教えてくれないと思うよ」

「それはあれだよ。聞き出せばいいんだよ。無理やりにでも」

「無理やりって」

「おいおい。手を出してきたのはあっちからなんだ。あっちには文句は言わせねぇよ。さて、そうと決まったら誰から聞きだすかだな。この渚ってやつはさすがに無理だろうし。ん? こいつなんかどうだ?」

「どれ?」

「この楓ってやつはどうだ?こっから近いし、いいんじゃねぇか?」

「四本槍の楓政人。能力は……。」

「よし。じゃあこいつにしよう。明日は休みだし、早速明日行くぞ」

「うん。ただ雄二、これだけは守ってくれないか」

「ん?なんだ」

「もし敵が降参してきたらそれ以上はなしにしてくれ。僕は敵でもなるべくなら傷つけたくないんだ」

「へっ、お前らしいな。わかったぜ。約束しよう」

 

 

 そして当日の朝。

 二人はしっかりと準備して向かうのだった。