
27
赤羽が地下の部屋に着いたときにはもうすべては終わっていた。淳の倒れた姿と白藤が悠然と立っている姿を見れば結果は明らかだ。
「決着をつけよう。この戦いに」
「ああ、終わらせてやるよ。だから少し待ってろ」
赤羽は言い終わると一瞬で淳のもとに移動し、そして淳を連れて一瞬で部屋の外へ出て行く。
「よく、ここまでがんばったな」
そして傷の具合をチェックする。
「安心しろ。そこまで深い傷はついていない。私の最も強く打った攻撃も、彼の水を防いだことで相当弱められた」
「ああ、そのようだ。これならとりあえずは大丈夫そうだ」
「よくここまで育てたな。彼は本当に強かった。能力も。そして心も」
「俺が育てて強くなったわけじゃあないさ。こいつらがただ大切なものを守るんだってがんばってただけさ」
淳を廊下に寝せ、傷の手当をすると赤羽は部屋に戻る。白藤をにらみつけながら。
「だからこそ。俺は、お前を討つ」
「やってみろ」
言い終わる前に白藤は鞘に納まっていた刀を居あい抜く。
「オクテッド・サーキュラー」
白藤の居合いと同時に赤羽は自身の回りに八つの円盤を生み出す。手のひらより少し小さめで厚みが2センチくらいのものだ。そしてそのうちの三つが赤羽の前に飛んできて、それぞれが正三角形の頂点となるように位置する。面を中央に向けて。するとその瞬間にそれらを頂点とした半透明の正三角形状の盾がはられた。
白藤の飛ばした斬撃はこのたてによって防がれる。しかし一度斬撃を防いだだけで、この盾もパリンと音を立て割れてしまった。
「ち、さすがだな」
「貴行もな」
すぐに赤羽は自身の周りにあった円盤のうち3つを白藤に向けて飛ばす。そして白藤のほうに円盤の面が向き、その面からビームが一本づつ、計3本放たれた。
白藤はこれをよけつつ刀を何回か軽く振る。そしてできた斬撃を操作、増幅させて赤羽に向かって四方から同時に放つ。
「ピラミッド・ガーディアン」
赤羽はこれに対し、自身の周りに残しておいた5つの円盤を自身を中心として四角錐の頂点の場所に操作する。やはり今回も四角錐の中心を円盤の面は向いており、そしてそれらを頂点として半透明の四角錐が生まれる。
白藤の放った斬撃はこの半透明の盾に阻まれる。そして赤羽のこの盾も白藤の攻撃を防いだ面はわれ、すべて防いだときには四角水の面は底辺だけになっていた。
しかしこの瞬間に赤羽は白藤に向かって二つのビームを放つ。そしてそれらのビームは白藤に当たる前にそれぞれに当たり、ビームの太さと強さを何倍にもして白藤のほうに向かっていった。
(これはまずいな)
さすがにこれはやばいと考えた白藤はすぐさま刀を思い切り振り、そのときにできた風を組み替えて風の塊としてビームにぶち当てる。その結果、両者はぶつかりあい、激しい突風が生まれた後、消えていった。
白藤はこの突風を集め、赤羽に向かって飛ばす。いままでの観察からあの盾ではこの攻撃は防げないと判断したため、分散させたりはせずに放った。
赤羽はこの風を見ることはできなかったが、とても威力の高い攻撃がきていると感じ取る。白藤の能力の強さから考えてよけたとしても無駄だろう。追尾されて結局は当てられる。
「トリニティ・ストリーム」
赤羽は自分の近くにあった円盤のうち、三つからビームをその風めがけて放った。そのビームはあるひとつの点でぶつかり、そして三つのビームはぶつかった点を中央として螺旋回転して風に向かっていった。結果、両者はぶつかり、両者ともが打ち消されされていった。
「そろそろ様子見は終わりにしよう。互いに、な」
白藤は言い終えると刀を納め、居合い抜きの構えを取った。しかし先ほど淳に見せたときとは違い、殺気が恐ろしいほどに出ていた。本気で赤羽を倒そうとしているゆえに殺気がもれてしまっているからだ。
これを見た瞬間、今までで一番、いやひょっとしたら白藤の持つ技の中で最も強い攻撃が来ると赤羽は察知した。ゆえにこちらももっとも強い攻撃をぶつけることを決める。そして赤羽は8つすべての円盤を瞬時に自分の前に移動させ、ある一転を中心に直径2メートルくらいの円状に円盤を回転させる。それぞれの円盤の向きは円の中心と白藤の方向のちょうど間くらい(45度くらい)だ。そして円の中央を中心として光輝きだす。
「刹那」
白藤は鞘に納めた刀を抜き放つ。そして居合いによって生まれた風を赤羽のほうに飛ばす。やはり淳に向けて放ったものとは威力が段違いだった。居合いそのものもすごい強さで放ち、さらに飛ばしている斬撃をもかなり強化しているようだった。
「すこし、遅かったな。完成だ」
8つの円盤が回転することによって生まれた円の内側はものすごく輝いていた。
「オクテッド・フル・バースト」
そしてその円から白藤に向けて特大のビームが放たれた。
両者はぶつかったが、白藤の放った斬撃は消し飛ばされる。しかしいくら威力がすごかろうとこれだけ隙が大きく、直線的な攻撃をよけれない白藤ではない。いや、たとえ淳くらいのレベルでも軽々よけれる。だから当然これをよけた。しかしその瞬間、赤羽が手に光り輝く刀を持って白藤の背後にいた。だが白藤も赤羽が白藤もこの攻撃をよけれると読んでいることを読んでいた。ゆえに自身の刀でこれをガードしようとする。赤羽の持っている刀がどれだけの威力があるかは知らないが、周りにあるすべての風を集めて刀にまとえば絶対に防げると確信できた。
「な」
しかし腕が動くのが少し遅れてしまった。右腕が痛んだのだ。
(な、ぜだ)
赤羽との戦いで傷ついてはいない。いや、もし傷ついていたとしてもわかっていれば違った対応をしていた。淳との戦いでも傷はついていない。
ではいつ傷ついたのだ。
(あの時、か)
そう、淳が最後の力を振り絞って白藤に攻撃しようとしていたときだ。あの時は攻撃が届いていないと思っていたが、実際には右腕にかすっていたのだ。そのときは感慨にふけっていて気づかなかった。その後も戦いに集中していて気づかなかった。しかし自身の持つ最大の居合いをしてしまったがために傷が悪化してしまったのだ。
結局白藤は淳によって負けることが確定した。もしもこの傷がなかったら赤羽のこの一撃を防ぐことはできたであろう。そのあとはすぐ決着がつくか、はたまた当分決着がつかないかはわからない。どちらが勝つかも嫁はしないが。
そう、淳がいたためにここで白藤の敗北は決定された。
「終わりだ」
そして赤羽は、白藤を切り裂いた。