E−XAMY

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 教師はぽかんと口をあけ、生徒たちはおびえている。頭がすっぽりと入る黒いマスクに、黒の長袖長ズボンという服に身を包む、見るからに怪しい男が生徒たちに銃口を向ける。

 そんな中でスピーカーがなる。

『諸君。はじめまして。わかっていると思うが君たちの命はわれわれが預かっている。死にたくなかったらおとなしくわれわれの言うことを聞くことだ。』

 

 

時は少し戻って、3間目終了間近という時間。具体的には11時28分である。今日は入学式が終わって授業二日目という日。今の授業は数学A1でこのクラスの担任である赤羽の受け持つ教科だ。初めての授業であるため、一応ガイダンスを15分くらい行い、それから授業に入った。そして順調に授業を進め、終わりの時間が近づいてきたときだった。

「ってことで今日の授業はこのくらいだな。それと課題を出しておこうかな。別にこれはやらなくてもいいが、もしやってきた人でテストがやばかった人はこの課題分を考慮してやる。つまり赤点取りそうな人用の対策だ。もちろん、赤点絶対取んないって人もやってきて出してもいいぞ。直接的にはプラスにはならんが、俺への印象点は少なくともプラスされるし勉強にもなるしな。んで範囲は……。」

 そう赤羽がいったところで勢いよく扉が開き、全身黒尽くめの怪しい男が入ってくる。頭がすっぽりと入る黒いマスクに、黒の長袖長ズボンという服に身を包む見るからに怪しい男だ。

「静かにしろ、お前ら!今から放送が入る。その放送をよーく聴いておけ。いいか、お前たちの命は俺たちが握っていることを忘れるな!」

 とっさのことに全員があっけに取られる。そしていっせいに悲鳴が上がる。

 ぱん

そこにひとつの銃声がなる。

「黙れといっただろうが!次にしゃべったら殺すぞ!」

 その言葉に、生徒たちはおびえる。中には気絶してしまっているものもいる。

教師はいまだにぽかんと口をあけている。だが、いったい何を考えているのか読めない。

そんなときにスピーカーが鳴った。

『諸君。はじめまして。わかっていると思うが君たちの命はわれわれが預かっている。死にたくなかったらおとなしくわれわれの言うことを聞くことだ。』 

 スピーカーから男の声が聞こえてくる。

『諸君らには人質となってもらう。われわれの同士奪還のためだ。だから安心したまえ。すべてうまくいけば諸君らの命は保障できる。そんなわけでしばらくの間おとなしくおびえていてほしい。』

 男は意味の分からない言葉をいう。

「わかったか、お前ら。しばらくおとなしくしていれば、そしてわれわれの同士の釈放を警察が認めれば諸君らの安全は認めよう。」

 黒ずくめの男はいう。

 だが、そこに赤羽が質問する。

「おいおい、お前ら誰だよ。」

 赤羽の様子は生徒たちと違っており、異常なまでに落ち着いている。いや、この状態で落ち着いているのだから異常だ。

「何だ、貴様!」

 黒ずくめの男は赤羽をにらみつける。

「いや、だからお前らは誰だよ。」

 悪びれる様子もなく赤羽は再度同じ質問をする。

 そのことに黒ずくめの男は腹を立てたのか怒った調子で赤羽を怒鳴る。

「うるせぇよっ、おまえ。死にたいのか?言っとくが俺たちは数人は見せしめのために殺してもいいとリーダーから言われてるんだぜ?死にたくなかったらおとなしくしてな。」

 わかったよ、と赤羽はいい、教卓のいすに座る。そしてその瞬間、はいていた左足の靴を黒ずくめの男に飛ばす。

「なっ。」

 黒ずくめの男はこれに驚く。赤羽の靴は男に当たらなかったが、男が靴に気をとられてる瞬間に男の横までいく。そして男の後頭部にひじで思い切り殴る。

「!」

 黒ずくめの男はこの赤羽の攻撃で気絶してしまう。

「さて、と。ほかのとこのやつらんとこにも見回りしてくるか。お前らはここから動くなよ。もしやつらの仲間が着たら俺がいきなり変なことをやったとか本当のことを言っておけ。」

 赤羽は黒ずくめの男の手足をこの男の着ていた上着とズボンで縛りながら言う。

 そして縛り終えると飛ばした靴を履き、廊下に出る。

 

 

 

「慎。」

 と、赤羽の背後から声がする。

「優希か。」

 赤羽が後ろを向くと、隣のクラスから出てきたであろう教師のような男がいた。

 彼の名は二条優希(にじょう ゆうき)。赤羽の担当するクラスの隣のクラスの担任である。赤羽と同じく彼も今年から初めて教師になったものだ。ちなみに赤羽とは高校からの仲である。

「聞くまでもないかもしれないけど、ひょっとしてそっちも?」

 二条はきく。赤羽はそれにうなずきながら答える。

「ああ。全身真っ黒の変体がいきなりやってきてな。いきなし銃を発砲してスピーカーを聞けとか何とか言うから懲らしめてやった。」

 赤羽は多少、自分の言ってることが間違ってるような気がしたが無視して話した。

「ともかくこれからのことを決めよう。俺が放送室にいきつつ、いろんな教室を開放していく。お前は違うほうと見回りしてるだろうやつを頼む。」

「わかった。」

 赤羽の提案に二条はうなずく。

 

 

 そこからはあっという間だった。

 赤羽は放送室に行くまでのすべての教室を開放していった。開放の仕方はいたって単純で教室にいる黒ずくめの男を気絶させ、先ほどやったように手足の自由を奪うのだった。

 途中、ある教室で男を気絶させたとき、隣のクラスがうるさいと見に来た黒ずくめの突然の発砲に危うくやられそうになるがぎりぎりでよけ、その男も倒す。

 そしていよいよ放送室の前までやってきた。

 慎重にドアを開ける。

「なんだ?事が終わるまでくるなといっておいたはずだが。」

 先ほどスピーカーで流れたのと同じ声が響く。

 赤羽は一気にドアをひらき、中へダッシュする。

 男は一瞬驚き、しかし赤羽の奇襲に対して反応する。

 赤羽が男のすぐ近くまで行き、殴ろうとするがぎりぎりでかわされてしまう。しかしここで赤羽は距離をとろうとせず、又一気に距離をつめようとする。それに対し男は赤羽に向かって左手をむけ、残る手で指をぱちりと鳴らす。赤羽はこれを見た瞬間、急激に方向転換する。

 パチン。

 その瞬間赤羽のいた空間が一気に爆発する。

「ちっ。やはり能力者か。」

 赤羽はつぶやく。

「ほう、今の攻撃をよけるとはなかなか。うん?その赤い瞳……。まさか貴様、赤い死神か!」

 男は少し驚いた顔を見せる。この瞬間、赤羽は男に飛びかかろうとするが男は再び左手を赤羽に向ける。

「くそっ!」

ぱちん。

 男が指を鳴らすとまた、空間が爆発する。

ぱちん、ぱちん、ぱちん。

 今度は連続で爆発が起こる。

 これらを何とかよけきった赤羽だが、これではちかづけない。

 いつもならマンガをスーツのポケットに入れているのだが、今日は最悪なことに忘れてしまった。

ぱちん。

 爆発が赤羽の左肩にかする。

「くっ。」

 赤羽はいたいのを必死にこらえる。

「終わりだ。」

 男がそういって指を鳴らそうとした瞬間、赤羽は右足の靴を男に向けて飛ばす。

「なっ。」

 男にとって予想外の攻撃につい思いっきり、必要以上によけてしまう。

 そこに一気に距離をつめた赤羽の嘗呈が男の顔面めがけて繰り出される。

「ぐはっ。」

 そして赤羽は男に連続攻撃を繰り広げる。

 右腕の嘗呈の後は左腕のひじ、右足のひざ、男の右横にいき右腕で後頭部にひじ、そこで男のほうを向き左腕で男の後頭部を思いっきり殴ったところで男は倒れた。

「ふう、危なかった。」

 赤羽は少しの間すわりこみ、息を整える。そして男の手足を縛る。

(後は二条がやるだろうからな。俺はこの男を見張っておこう。)

 

 

 二十分後にはすべての黒ずくめが自由を失い、警察に明け渡された。

「あ、あなたたち二人でやったんですか?」

 と、赤羽と二条は警察に驚かれた。

 そして今日のこれ以降の授業は休みとなり、生徒たちはみな下校させられた。そして、すべての教職員には警察による事情聴取が行われた。

 

 

「なあ、淳。あの先行ってすげえんだな。」

 淳と雄二は二人で家に向かう。赤羽に話を聞きたかったからしばらく待ってみたが今日は無理そうなので帰ることにしたのだ。

「本当だね。明日ちゃんと先生に聞いてみようね。」

「ちょっと君たち、いいかい?」

 白衣の上からコートを着た、髪が長い長身の男がいきなり二人に話しかけてくる。目が細く、威圧感のある男だ。

「な、なんすか?」

 淳と雄二は驚き、聞く。

「いや、たいしたことはないんだけどね。もしよかったら私の話を聞いてもらえないかとおもって。」

「あ、あなたの話?」

 淳は男に尋ねる。

「そう。君たちも持ってる能力が関係している話なんだけど。」

「!!」

「!!」

 淳と雄二はビックリして思わず顔を合わせる。

「私の雇い主が能力を使って世界を平和に使用って考えているんだ。だから二人にもぜひ仲間に入ってほしいって言うことでね。どうだろう、話だけでも……。」

 

 

「却下だ。」

 いきなり淳たちの後方から声がする。淳と雄二はその声のしたほうを向くと、赤羽が歩いてこちらに来ていた。

「あ、先生。」

「あ、あれ?事情聴取はどうしたんすか?」

 淳と雄二は思わず聞く。

 だが赤羽は二人をにらみ言う。

「そんなことはどうでもいい。ふたりとも、早くここから離れるんだ。」

 有無を言わさない雰囲気で赤羽は言う。

「え、どうして?」

「早く行け!」

 淳の質問には答えず、二人を行かせる。

 二人が見えなくなったところで赤羽が男に尋ねる。

「追わないのか?」

「まさか。あなたに背を向けて彼らを追うなんて愚行を私がするとお思いで?」

 赤羽はふっと鼻で笑っていう。

「一応聞いただけだ。」

 赤羽とコートの男は互いに目で牽制しながら近くの人気がない路地裏に入っていく。

 

 

「何なんだよ、先生。」

 意味もわからず追い出された雄二はぼやく。

 そんな雄二を淳はなだめる。

「きっと何かわけがあったんだよ。」

 二人で話してると柄の悪い男が二人に話しかけてくる。

「おい、お前ら。さっきの黒服から話はきいたな?で。俺たちの仲間に入るのか?それとも入らないのか?十数えるうちに答えろ。」

 意味のわからない言葉に雄二は聴き返す。

「な、仲間って何だよ。」

「8・7・。俺が聞いてるのはYESか、それともNOかだ。4・3・。」

 雄二の質問を無視して男はいう。

 意味がわからない淳と雄二は答えられない。

「0。NOってわけだな。じゃあ死ね!」

 男はいきなり雄二に殴りかかる。

 いきなりのことなので雄二は反応できず、吹っ飛んでしまう。

「ぐわっ。」

「ゆ、雄二。大丈夫か?」

 倒れた雄二に淳は駆け寄る。そんな二人に笑みを浮かべた男は近づいていく。